【オンプラ★ちょびっと振返りブログ】本棚でキラめく満天の星〜漱石の宇宙と『夢十夜』

こんばんは、ブックアプリの読みたいリストが溜まっていく一方の なおです。

2024年3月21日の神奈川県はよく晴れて、会社帰りの夜空で冬のダイヤモンドはすっかり西に傾いていました。今はライオンが雄々しく遠吠えせんばかりですね。今週は冬の最後の足掻きで南関東でも積雪を記録しましたが、もう春に向けてアクセルが踏み込まれようとしています。

今朝、ご近所のモクレンが満開でした。ヒヨドリさんがキョロキョロしているのが微笑ましかったです。最近花の写真をよく上げていますが、春はやっぱり花たちが目と心を楽しませてくれます。

今回の解説でガッツリ文系が、ついに10回目の解説を務めさせていただきました。記念ではありませんが、せっかくなので10に因む作品ということで、テーマは夏目漱石の『夢十夜』です。

前半では、文学者でありながら科学好きな夏目さんが、宇宙についてどんなことを知っていたか、どんな風に考えていたかを私なりに紹介させていただきました。理系と文系の間に立つ人、とも解される夏目さんです。様々なことに興味を持ち、理解し、自分の解釈を広げてゆく。

そして何より、公平性を持って文芸も科学も愛し、自分の信念を曲げずに世間に対して声を発していた姿勢は、今でも見習うべきだと思います。

さて、『夢十夜』です。

配信では朗読(噛んだ上に読み間違いまでしでかしました…!)のみで、皆さんそれぞれに文章から受ける印象を大事にしてほしいと思い、作品解説は殆ど省かせていただきました。第一夜だけでなく、他の夢も美しい文章で綴られているので、ぜひ読んでいただけたらと思います。

ちなみに配信ではブラックアウトしていたChat GPTによる第一夜のタイトル付けと粗筋紹介は、次のようなものでした。

「百年待つ花」

「100年待っていて——」そう告げて彼女は逝った。墓のそばで沈む夕日を数え続ける男。果たして約束の再会は訪れるのか?幻想的で切ない、時を超えたラブストーリー。

Chat GPTにはちょっとポップな印象だったのかもしれません。

色んな本を読むと、次のような解説がありました。

★女の真っ黒な眸に浮かぶ「自分」:宇宙のような女の包容力に包まれている安心感

→女自身もそれを承知している(「写っているじゃありませんか」という客観視した言い方)

→それが女の死によって崩れてしまう

★苔むした星の破片:赤い日の運行により過ぎていく百年の経過

★白百合:女の純潔な愛情

★死に際の女の涙:終盤に「遥の上からほたりと」落ちてくる露に繋がっている

★暁の星:金星→愛の神(ヴィーナス)としての女の象徴

などなど。

(個人的には、墓を掘る「自分」が持つ真珠貝に反射する月の光は、「自分」の悲しみや涙なのかな、と考えていました。)

色々と解説はありますが、この夢の不思議さは依然として深と広がっているように感じます。

配信では第一夜に女と男が出てくる、と言いましたが、「自分」が男とは明記されていません。それも読みながらどう解釈できるかなと思っています。

長々と書いてしまいましたが、ぜひ本を取って読んでもらえるきっかけになればこれ以上のことはありません。

ぜひ、好い夢を。