著者:加藤 硯一・青木正博
出版社:工作舎
ジャンル:一般書籍
本のサイズ:ハードカバー(w150mm×h210mm)
総ページ数:269ページ
字の大きさ:小サイズ(ふりがな無し)
この本は、鉱物が大好きな「石っこ賢さん」と言われた宮沢賢治の鉱物の本となっております。なぜ、宮沢賢治の鉱物の本なのかと言うと、宮沢賢治の物語にはたくさんの鉱物が登場します。そんな作品に出てくる鉱物を専門家の分かりやす解説付きで一冊にまとめた本となっております。また、初めのページでは賢治の生涯と地質学史の年表も掲載されているため、賢治が歩んできた地質学の歴史も分かります。
そのため、この本は書籍というより鉱物辞典ではないかと思います。
色とりどりの鉱物
この本の特徴として、各章が鉱物の色によって分けられ、一つの鉱物に解説と賢治のどの物語に登場したかが書かれているため物語内での鉱物の表現などが分かります。
そして、なにより鉱物の写真が綺麗です。黒地の紙に鉱物の写真が映えるため、ついつい触りたくなってしまいます。(自然と手が写真に触れてしまいます。)
また、鉱物の成分表や硬度まで書かれているため、「この鉱物はこの成分でできているのね」などと勉強になります。
石っこ賢さん
この書籍を見終わる頃には、賢治のあだ名がなぜ「石っこ賢さん」なのか、ものすごくわかる気がします。
一つの鉱物をすてきな言葉で表現し、物語を作りあげてしまう賢治。鉱物が大好きなのが伝わってきます。
例えば、「銀河鉄道の夜」で賢治は、アルビレオ観測所の描写に惑星(ほし)の青さをサファイヤの青で表現しています。サファイアの青色の輝きを惑星(ほし)として表現。納得です。
岩手の満天の星空は賢治にとっては、鉱物と同じ輝きに見ていたのだろうなと感じさせられました。
また、普段目にしている宝石の原石状態を知ることができるので、「アメジストはこんな感じなんだ」など新なる発見ができる本です。
最近、私は「蛍石」に魅了されているのですが、鉱物としての蛍石姿に驚きました。
物語×鉱物辞典となっているこの本を片手に賢治作品を読み返すと、また一層物語を読み進めるのが面白くなるのではないでしょうか?
6月23日のオンラインプラネタリウムでは、なおさんが
「本棚でキラめく満天の星〜ダイヤ改正前の銀河鉄道の夜」と題して
宮沢賢治の銀河鉄道の夜の解説をされております。
この本の他にも数冊番組内でご紹介しております。
詳しくはアーカイブをご視聴ください。