東京都品川区にある「ニコンミュージアム」では、2021年3月2日から8月28日まで、ニコンミュージアム企画展「星の美しさを伝えた天体望遠鏡たち」が開催されています。新型コロナウイルス感染症対策のため4月27日から臨時休業していましたが、6月8日から再開されました。
企画展示されている天体望遠鏡のうち、このブログにていくつかご紹介したいと思います。
6.5㎝ED屈折赤道儀は、口径6.5㎝、焦点距離780㎜、F12という無理のない設計と、アポクロマートレンズの採用により、とてもシャープな見え味が特徴の天体望遠鏡で、さらに当時としては革新的な天体の追尾を自動で修正する「オートガイダー」も国内望遠鏡メーカーとしては初めてオプションとして用意していた、小型軽量天体望遠鏡システムです。
8㎝屈折天体望遠鏡は、口径8㎝、焦点距離480㎜、F6という当時としてはとても明るい光学系で、更にイメージサークル(撮影できる範囲)は、Φ100㎜と、6×9㎝判のフィルムでも撮影できるように設計された、まさに天体写真を撮影するために用意された天体望遠鏡です。
このニコンセットで天体写真を撮影することは、多くの天文ファンにとっては今も昔も憧れの的でした。
「フルニコンセット」で天体写真を撮影するのは、一種の「憧れ」のようなものでした。
人工衛星を地上から観測する為に開発された望遠鏡です。1958年に旧ソ連がスプートニク1号を打ち上げ、それを成蹊高校の学生たちがこの望遠鏡を使って観測したそうです。
口径4.5㎝、倍率5.5倍、実視界11度というスペックですが、実際に、当時数人の学生たちがこの望遠鏡を使って、上空を通過するスプートニク1号を観測し、その結果を東京天文台、スミソニアン天文台、アメリカ科学アカデミー等に報告し、表彰状を頂いたそうです。
見た目はとても小さな望遠鏡ですが、学生たちの活躍の一翼を担った望遠鏡です
10㎝屈折赤道儀は、口径10㎝、焦点距離1200㎜、F12という、当時の屈折望遠鏡としては大口径の2枚分離型10㎝アポクロマートレンズを、ニコン独自のEDレンズを使用することで屈折望遠鏡の残存色収差を低減した、高性能屈折望遠鏡を搭載した赤道儀です。
天文台や専門家、教育機関などで使用できるように、多くの方々から意見を聞きながら開発された天体望遠鏡です。私の大学にも1台ありました。
ニコンの天体望遠鏡は、移動式はほとんど屈折望遠鏡でしたが、新天体望遠鏡シリーズ用に試作されたのが、この12㎝反射天体望遠鏡です。
口径12㎝、焦点距離960㎜、F値8と、スペック的には普通の反射望遠鏡ですが、かなり独創的な構造をしています。
反射望遠鏡の場合、構造上接眼部分が弱くなってしまい、ここにカメラなどを取り付けてピントを合わせたりするのが困難なことが多いですが、この試作機は主鏡の位置を前後に移動できるようにすることで、接眼部に重たいカメラなどを設置してもピント調整が容易にできる構造になっています。また、光学系の中に、焦点距離を長くするバロー光学系、短くするレデューサー光学系が既に組み込まれていて、簡単に入替可能なシステムになっていました。
続きは第二弾でご紹介します!!
- 施設名 ・ニコンミュージアム
- 開館時間・10:00~17:00(最終入館は16:30まで)
- 休館日 ・月曜日、日曜日、祝日、同館の定める日
- 入館料 ・無料
- 所在地 ・東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟2階
- 公式サイト:https://www.nikon.co.jp/corporate/museum/