【書籍紹介】ひとつ宇宙の下

  • 著者名:成田 名璃子
  • 出版社:朝日文庫
  • ジャンル:小説
  • レベル:初心者(高校生~)~
  • 本のサイズ:文庫本
  • 総ページ数:256ページ
  • 字の大きさ:小サイズ(ふりがななし)
ひとつ宇宙(そら)の下

この本の登場人物は。

 学生時代、天文学者になるために、ブラックホールの研究をしていたが、家族の為に夢を諦めて普通のサラリーマンになった 通称:抜け天の父 井上亘。

 星が好きでUFOも見たことがあるが、ある事件をきっかけに星を見なくなった母の 一華

 そんな、父母を巻き込んでいく小学校で問題を抱える息子の 彼方

 そして、家族のキーマンとなる自宅に巨大望遠鏡を持つ謎の老人

あらすじ

 物語の始まりは、明け方に小学生の息子の彼方が、家を抜け出している事が判明する。そして、亘と一華が後をつけて行くと、なにやら天体望遠鏡を持って、友人と天体観測をしている息子を見つける。

 悪い事をしているのではないと、安堵をしたが、望遠鏡は一体だれの物かが気になる二人。

 なぜなら、自分達の望遠鏡は、封印したままになっていたからだ。

 そんなある日、息子に連れられ望遠鏡の持ち主の老人に出会う。

 また、その老人自身にも秘密が・・・・。

 その老人との出会いをきっかけに、ギクシャクしてしまった家族が、再び宇宙と向き合う事により、家族に星の光が生まれる家族再生の物語となっております。

動き出すあなたの背中を押してくれる一冊

 この本を読んで、私は、父親の亘の思いや母親の一華の気持ちが心に響きました。

 例えば、本文中に「俺にとって、空は何気なく見るものではなく、明確な目的を持って観るものだった。」とある。

 確かに、天文家にとっての空は宇宙(そら)なのだから、私もしばらく天文から外れていた時期がありました。そう抜け天です。

 けれど、見上げれば空があり、無意識にその上の宇宙(そら)を見上げていました。

 また、父親の亘が「こんな自分でいいのか」と自問する場面があります。

 これは、誰にでも言える事ではないかと思います。

 なぜなら、何気ない日常に物足りなさを感じて自問して、新しい道を切り開く人。私の様にチャレンジする事に臆病になり自問しているだけで終わってしまう人。

 この本は、家族再生の物語でもありますが、新たな道を開こうとしているけれど、自身がなく前に進めない方に是非読んでほしいと思います。

 きっと、背中を押してくれます。そして、あなたの心の中の希望の星が輝くはずです。

 私もこの本を読み終わる頃には、やりたい事にチャレンジしてみようと思い、動き出しました。

 また、本文中にはたくさんの天文用語や天文の話題がたくさんでてきますので、星好きな方には、ぴったりな一冊ではないでしょうか。