【書籍紹介】宇宙の話をしよう

  • 著者名:小野 雅裕
  • 絵:利根川 初美
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • ジャンル:児童書
  • レベル:初心者~上級
    (小学4年生~大人まで)
  • 本のサイズ:A5半ソフトカバー
    (W150mm×H210mm)
  • 総ページ数:242ページ
  • 字の大きさ:中サイズ 漢字ふりがな有
    (コラムの文字は小さめ・漢字ふりがな有)
小野 雅裕
小野 雅裕

オンラインプラネタリウムのお子さん達へ


 人類の科学は、大昔の人たちが星空を見上げ、天体の運行に興味を持ったことから始まりました。僕個人の夢も、5歳の頃に父に買ってもらった望遠鏡で星空を見たことから始まりました。僕たちは何千年もの間、星空が与えるイマジネーションに動かされ続けてきたのです。

 プラネタリウムで星空に興味を持ったら、今度は望遠鏡で本物の月や惑星を見てみてください。どこか街明かりの届かない山や海へ行って星空を見上げてみてください。きっと一生心に焼きつく体験になるでしょう。そしてその時あなたの心にやってくるイマジネーションが、もしかしたらあなたの未来に繋がるかもしれません。

小野雅裕 NASAジェット推進研究所技術者・作家

宇宙の話をしよう

父娘で語る「宇宙」

 NASAの技術者である父娘のみーちゃんのユーモラスな会話で語る、宇宙探査機やロケットの歴史についての本です。
 文章は、対話形式で話が進むため、飽きずに読めると思います。活字は苦手だけど、宇宙の本ならと思う方にはぴったり。老若男女問わず楽しめる本になっております。

父娘でたどる「宇宙開発」の歴史

 本章では、宇宙開発の歴史の始まりは、一人のSF小説家から始まったと言う事や、ロシア・アメリカ・ドイツのロケットの父達の3人の苦悩。宇宙開発を語る上で知らなくてはならない、「兵器開発から探査機やロケットが作られていた」と言う事実が、みーちゃんと父の巧妙な会話で心苦しくなく読み進める事ができます。

 後半では、宇宙を目指したロケット開発者の待ちに待った第一号機の発射までの裏側など書かれております。そして、その時の様子が臨場感たっぷりの文章で書かれている為、読んでいるだけでも、ドキドキしてしまいます。
 また16あるコラムでは、会話では分からない部分の解説などが詳しく書かれている為、とても勉強になる本になっております。
 そして、挿絵はとっても可愛く本章にふんだんに使われており、表紙は本章に登場するSF小説の表紙をモデルにデザインされているので、とってもおしゃれな装丁になっております。

夢を持つことの大切さと、科学の発展に求められること

 登場人物のみーちゃんは、明るくて可愛い上に、自分の夢がはっきりしている賢い女の子。でもその反面、宇宙が好き過ぎて周りの子と話が合わず孤立してしまっていたりする悩みもあります。それをしっかり受け止めて話をする父。理想の親子像ではないでしょうか?
 私事ですが、私も小さい頃から宇宙・恐竜が大好きで、周り子がアイドルに熱中する中、一人で宇宙に関しての書物を読み漁る日々。愛読書は、毎月の科学雑誌。ある日、気が付くと周りから「変わってる子」のレッテルを貼られ孤立してしまいました。
 そのため、みーちゃんの気持ちにすごく共感を持つ事ができ、この本を読み終わる頃には「自分の好きなことはそのまま突き進んで良いんた!」という事にも、改めて気づかされました。

 もし、皆さんが趣味を否定されたり孤立感を持って悩んでいるなら、みーちゃんの様に「自分の好きな事は諦めず突き進んでいいんだ。」と考えて、その趣味などを楽しんで下さい。

 また、本章中に父の言葉として「どんなに科学技術が進んでも、人が幸せでなくては何の意味もないもの。」この文章には、戦争はしてはいけないと捉え、歴史上科学の発展には戦争が大きく関わってきている為、今後は「科学の発展=戦争」ではなく、「科学の発展=人類の幸せ」となって欲しいと言う意味が込められているのではないかと思います。


 夏休みも終わりに近づいてきました。8月には終戦記念日もあるので、別の角度から戦争についても考えられる1冊です。

夏休みにオススメの1冊

 ロケットや宇宙開発への興味が絶対沸く事間違いないです。
 そして、夏休みの読書感想文や読書記録に最適な1冊です。



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